2019 年 75 巻 1 号 p. 350-361
本研究では,2018年7月豪雨災害の事例を通じて,気象庁による大雨気象情報(大雨警報,大雨特別警報)と土砂災害警戒情報,市町村による避難情報(避難準備・高齢者等避難開始,避難勧告,避難指示(緊急))の発表・発令特性やその関係性を定量的に明らかにする.
結果として,岡山,広島,愛媛の3県における避難指示(緊急)対象者の中で,避難勧告が事前に発令された住民は6割,さらにその前に避難準備・高齢者等避難開始を発令された住民は5割に満たなかったことが明らかとなった.また,大雨気象情報や土砂災害警戒情報は,自治体による避難情報の発令基準と関連付けることが推奨されているが,今回の災害では自治体によってその活用方法に大きな差異があることが示唆された.