2018 年 33 巻 2 号 p. 89-92
本研究では,TIMSS2011とTIMSS 2015に同一内容で出題された「水と油課題」を事例として,論述式回答に対する日本の中学生のアーギュメントスキルの特徴を明らかにしようとした.分析結果から,この課題において,日本の中学生は,理科授業での学習を通して習得した科学概念を活用して課題をとらえ,論述することが困難であることが見いだされた.このことから,観察・実験によって得られた証拠を主張と結び付けるために,既に知っている科学的知識を用いて根拠を述べる学習の繰り返しの重要性を指摘した.