2018 年 100 巻 6 号 p. 193-200
衛星からの電波を受信して位置を知ることのできる Global Navigation Satellite System (GNSS) 受信機は林業の現場に普及している。GNSS で計測された座標には位置誤差が常に含まれている。したがって,その座標を用いて計算した面積も誤差を持っている。面積誤差の大きさが分かれば,直接的に測量の精度を知ることができ,森林資源の管理に役立つと考えられる。本論文では,位置座標と位置誤差(標準偏差)とから面積の標準偏差を求める方法を説明する。また,誤差を含む座標を用いて計算された「面積の標準偏差の近似値」を面積の精度を示す指標として利用することを提案する。この近似値のあてはまりの良さを評価するため,本論文では GNSS による周囲測量を模した数値実験を行った。その結果,90%以上の実験条件において,近似値は実測値±3%の範囲に収まった。加えて,提案した指標を実際のデータに適用し,利用方法の例を示した。これらにより,提案した指標が GNSS 測量で得られた面積の精度評価に利用できる可能性が示された。