2015 年 71 巻 2 号 p. I_1417-I_1422
有機物の消化が無機化(減量)に至らない低分子化までの過程では600℃での燃焼による強熱減量率(IL600)や全有機炭素含有率(TOC)を用いて堆積泥に含まれる有機物の消化状態を評価できない.本論文では有機物の嫌気性消化に伴う堆積泥の性状変化を評価する指標として,堆積泥の燃焼特性(各燃焼温度の減量率の分布)と炭素含有率との関係を提案した.水道水で満たされた水槽に堆積泥を静置させ,嫌気性消化に伴う堆積泥の性状(燃焼特性,炭素含有率,酸化還元状態等)変化を経時的に測定した.時間が経過するとともに堆積泥の酸化還元電位が低下,酸素消費能力が高くなることから,有機物の嫌気性消化が進行することを確認した.有機物消化に伴う燃焼特性の変化とC300(300℃で燃焼して残留した全炭素含有率)の変化との関係から,炭素比(C300/C5)と(IL300-IL200)/IL600は堆積泥の有機物形態を評価できる指標として使用できることが明らかになった.