2016 年 72 巻 2 号 p. I_1327-I_1332
堆積泥を燃料とする微生物燃料電池(Sediment microbial fuel cell: SMFC)は有機物分解を促進させるが,電極への電子伝達速度が低く,堆積泥の酸性化等の問題が残されている.本研究ではSMFCにおける電子伝達速度の向上,酸性化の緩和,および栄養塩類の固定に対する石炭灰造粒物(Granulated Coal Ash: GCA)の効果を室内実験により明らかにする.下水放流を受けた海域から堆積泥を採取し,GCAと混合した堆積泥からSMFCで電子回収を行った.実験終了後,各ケースの間隙水質,上層水,および堆積泥の性状を比較し,GCAの効果を検討した.この結果,GCAの混合により電極への電子伝達速度が向上されること,電子回収に伴うpHの低下を防ぐこと,および有機物分解に伴う栄養塩類,特にPO4を高い効率で固定できることがわかった.さらに,電子回収はGCAの効果を高めることが明らかになった.