本研究では, 中学校理科において, 科学的能力の一つである「科学的な疑問を認識する力」を育成するための指導法を考案し, その効果を検証することを目的とした。
この目的を達成するため, 授業場面において, ①問題を解決できるかどうかを判断する必要性を理解させる,②調べて解決できる問題かどうかを判断させる, ③問題に関係する言葉の中から解決に必要なキーワードを特定させる, ④どのような実験を行うべきなのかを思考させるという一連の指導法を考案した。そして, 考案した指導法の効果を検証するため, 広島県内の中学校第2学年の生徒81名(実験群41名, 対照群40名)を対象に, 「動物の生活と生物の変遷」の単元において授業実践を行い, 質問紙と評価問題の分析による効果の検証を行った。
その結果, 「科学的な疑問を認識する力」のうち, 科学的に調査可能な疑問を認識する力の育成に寄与することが示唆された。