2014 年 55 巻 3 号 p. 289-298
本研究では, 理科における小学生の批判的思考を育成するための指導法を考案し, 授業実践を通してその効果を検証することを目的とした。この目的を達成するため, 初めは他者の意見や考えに対して批判的に思考させ, その思考経験をもとに, 次は思考の対象を自分自身の意見や考えに移行させることによって, 児童の批判的思考を促すという指導法を考案した。併せて, この指導を具現化するためのツールとして, 「クエスチョン・バーガーシート」も考案した。そして, 考案した指導法の効果を検証するため, 小学校5年生62名を対象に, 「ふりこのきまり」の単元で授業実践を行った。
その結果, 考案した指導法は, 児童が根拠を重視して実験方法の妥当性を吟味したり, 一度考えた実験方法を反省的に思考したりする力の育成に寄与したことが明らかになった。