2017 年 58 巻 1 号 p. 27-40
本研究では, 中学校理科において批判的思考を働かせることができるようにするために, 他者との関わりを契機として批判的思考を働かせることを促す指導法を考案し, 授業実践を通してその効果を検証することを目的とした。この目的を達成するため, クリティカル・ファシリテーションという, グループ活動におけるファシリテーターに批判的思考を促す役割を与えて議論を進めさせる指導法を考案した。そして, 考案した指導法の効果を検証するため, 広島県内の国立大学附属中学校第2学年の生徒41名を対象に, 「化学変化」の単元において授業実践を行った。質問紙による分析, ワークシートの記述分析および発話記録の分析の結果, 考案した指導法は, 他者との関わりを通じて, 自身の仮説を反省的に振り返って考えたり, 合理的に考えたりする力の育成に寄与することが示唆された。