研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、前年度までに構築した遺伝子をマウスに投与し、ミトコンドリアへの遺伝子送達を検証した。また、ミトコンドリア外来遺伝子発現評価の基盤を構築すべく、レポーター系の構築とその機能評価を中心に研究を行った。①マウス肝臓ミトコンドリアへの遺伝子送達量評価遺伝子送達及び発現評価の簡便さの観点から、評価対象をラット骨格筋からマウス肝臓にシフトすることを考えた。前年度までにラット骨格筋で構築した遺伝子送達評価系をマウス肝臓に応用し、核とミトコンドリアへの遺伝子送達量を定量した。その結果、遺伝子発現が確認されている核と同等量の遺伝子が、ミトコンドリアにも送達されていることが明らかとなった。現在実現可能な方法で最も多い遺伝子量をミトコンドリアに送達したことをふまえると、遺伝子の質の改良も重要であることを示唆する結果であると思われた。②ミトコンドリア内で発現し得る遣伝子の構築・転写翻訳発現検証ミトコンドリア外来遺伝子発現検証の一般化、並びに翻訳の検出感度を向上させることを目的として、ミトコンドリアコドン対応高感度レポーター発現系を構築した。まず、試験管内反応によって、構築した遺伝子がミトコンドリアにおいて転写されているか否かを、PCRを用いた方法により検証した。更に、本遺伝子がミトコンドリアにおいて翻訳されているか否かを、遺伝子をマウスおよびラットに投与し、ルシフェラーゼ発光活性をもとに検証した。検証の結果、自ら構築した遺伝子がミトコンドリアにおいて転写を受け、さらにタンパク質を発現することが示唆された。酵素として機能するタンパク質の発現をin vivoミトコンドリアで達成した報告はこれまでになかった。外部から導入してミトコンドリアで発現する遺伝子カセットの発見は、遺伝子治療、更には今まで未知であったミトコンドリア関連生命科学研究の基盤となることが期待できる。
(抄録なし)
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