2018 年 74 巻 4 号 p. I_630-I_640
過去の大規模地災害において公助の限界が明らかになるとともに共助によるソフトパワーの活用が重要視されており,今後起こりうる大規模地震災害へ向け,地域の共助力の向上は不可欠な課題である.本研究では,実際に起こりうる大規模地震災害を想定した上で地域がどの程度の共助を行うことが出来る能力を持つのかといった共助に対するポテンシャルの基礎的評価を行う.さらに医療ビッグデータである国民健康保険データベースの活用から,重篤疾患を持つ災害時における要配慮者を町字単位で把握することにより,地域の共助に対する実態把握を行う.分析の結果,要配慮者数の町字単位の詳細把握が実現し,彼らがどの程度の共助ポテンシャルをもつ地域に居住しているのかを明らかにした.