研究概要 |
1989年にサンフランシスコを襲ったロマ・プリエタ地震では,震災直後からボランティアの活躍で,復旧・救援活動が大いにはかどった。大震時には広範囲で同時多発的に各種の被害が発生するので,そのすべての場合に備えた対応を考え、準備しておくことは実際上不可能である。そこで、ボランティアを予かじめ登録、組織,訓棟し,被害の大きさや程度によって,提供してもらう能力や人数,配置などを考えていくための方法を模索することを目的として研究を推進した。 まず、1989年ロマ・プリエタ地震におけるボランティアの活躍を、研究代表者および研究分担者が震災直後に現地で収集した資料,新聞,ヒアリングした記事ビデオなどから再現・構築した。その結果、米国赤十字社などのボランティア団体が強力なリ-ダ-シップを発揮して、災害発生直後に集まってきた大勢の一般ボランティアを統率しており、このことが復旧・救援活動において非常に有効であったことが明らかとなった。また、一般ボランティアの活動が、警察や消防士、救助隊との連携によってなされている点が特徴的であるといえる。 つぎに、わが国における災害ボランティアの実態を明らかにするために、雲仙普賢岳の噴火災害におけるボランティア活動について現地調査を行った。その結果、雲仙普賢岳の噴火災害においては、これまでに奉仕活動をしたことのない人たちが初めてボランティア活動に取り組んだ例が多く見られた。この様な状況から、初めてボランティア活動を行う人たちが戸惑うことなく、しかも効率よく作業に取り組むことのできる強力な窓口、連絡、調整機能が、災害時には重要であることが示された。
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