研究概要 |
本研究は,都市活動量の増進に資する高い信頼性を有する交通ネットワークシステムの整備・運用のあり方について検討することを目的としており,そのために,1)都市再生に資する交通ネットワークシステムのあり方検討,2)ネットワーク信頼性概念を用いた道路整備計画の事前評価手法の開発,3)信頼性概念による道路整備計画の事後評価手法の開発,4)最適交通システム整備水準モデルの構築を行った.以下に概要を簡単に示す. 1)については,都市の再生に寄与する交通ネットワークシステムの構成に関する基礎的検討を行った.吸収マルコフ過程の考え方を利用して,交通システムの整備方策が都市再生にどのような影響を及ぼすか分析した.整備方策としては,都市外郭部の環状方向交通システムの整備,ノードで代表される都市内各ゾーンの魅力度向上施策(例えば交通結節点の重点整備)ならびに重点整備すべきノードの選択・配慮などを対象とした. 2)について,ネットワーク整備計画策定時における時間信頼性の評価手法について検討した.比較的計算のための情報が少なく,一意に解を導出可能な均衡配分理論に基づく評価を行った.利用者均衡配分に対する感度分析手法を応用し,時間信頼性の観点から交通ネットワークの整備・容量増強計画を評価するための方法論を提案した. 3)に関しては,道路交通ネットワークを主対象とし一部リンクに設置された検知器の交通量データを入力として,時間信頼性を定量的に評価するための方法論について検討した.非観測リンクの交通量変動の補完法が重要となるが,その方法としてPath Flow Estimatorを利用する方法を構築した. 4)は,ネットワークの連結並びに時間信頼性の最大化を目的関数とし,環境容量,ネットワーク整備に導入可能な資源を制約条件とする数理最適化問題を定式化することにより最適な整備水準を算出モデルを構築するために,整備水準モデル構築を2レベル最適化問題として定式化することを考え,その解法について検討を加えた.
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